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パワーアンプのリレーを交換した。

パワーアンプのリレー(オムロンMY-2)の接点が不良になったので、しばらく短絡して聞いてたのだけど、先ほど重い腰を上げて交換。
DCアンプじゃないし、ミューティングなしでも電源オンオフ時のポップ音はほとんど気にならないので、あまり必要ないのだけど・・・。
でも、なんかまたアンプ作りたくなってきたな。
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黒田徹「基礎トランジスタ・アンプ設計法」「実験で学ぶ最新トランジスタ・アンプ設計法」オンデマンド版がアマゾンで売られている件。

すっごく久しぶりにオーディオの話。

以前、黒田徹氏の「基礎トランジスタ・アンプ設計法」「実験で学ぶ最新トランジスタ・アンプ設計法」を復刊ドットコムにエントリーして、多くの方々の協力によりオンデマンド出版により復刊が実現しました。
が。2013年にはインプレスのオンデマンド出版サービス「インプレス・ダイレクト」が終了。再び入手ができなくなってしまいました。
まあ仕方がないかと思っていたんですが、最近たまたまアマゾンで検索したら、なにやらオンデマンド版が在庫ありの状態になっている。
これって何?と思って調べてみたら、アマゾンが2011年からやっている「プリント・オン・デマンド(POD)」というプログラムで出版されているらしい。へえーすごいじゃん。

・・・まあ、最近はこれらの本に載っている作例(DCアンプ)が初段で使っているデュアルJFETはほとんど入手不可能なので(それどころか足の生えた部品自体が次第に絶滅しつつあるという話もあるようですが・・・)、最初に読む本としては黒田氏の本なら「実験で学ぶトランジスタ・アンプの設計」がいいと思います。洋書ならDouglas Self氏の本がいいらしいですね(実は持ってるけど読めていない・・・)。Small Signal Audio Designなんか、オーディオ・プリアンプ(アナログレコードのイコライザ・アンプとか)のみならず、ミキサーやらマイクプリやらのことが載っている、和書には類書がないと思われる本です。

    
 


インテグレーテッド・ピックアップ グレースΣ-709 その2

Σ-709の説明書の冒頭にこんなことが書いてあります。

NHK技術研究所音響研究部の全面的なご協力のもとに、カートリッジの決定版とまで評されるF-8Lの開発に成功したグレースでは、さらに同音響研究部との技術協力を続け、カートリッジ、トーンアームを含めたピックアップのすべての問題について、徹底的な研究を行ってまいりました。
その結果、より優れたものを得るためには、トーンアームだけ、カートリッジだけの設計では不可能で、インテグレーテッド・ピックアップとして考えていかなければならないことが定量的に証明されました。

グレースというメーカーは、トーンアームにしてもカートリッジにしても、あくまでも基本は踏まえつつ、さまざまな個性を持つ製品群を揃えるという趣味的なスタンスが特徴的だったと思うのですが、上記のような方針に沿って開発されたΣ-709は、なりふりかまわず理想を追求した研究開発の結果生まれた製品という印象があります。
よって、実験的・挑戦的な試みの跡がそこここに見受けられます。例えば、

1.極細パイプ
直径6ミリという極細パイプは(少なくともグレースでは)たぶんΣ-709が初めてではないかと。その後、G-707など主に海外で高く評価されることとなるアームに受け継がれていきました。

2.極小ヘッド
カートリッジ(F-8)は、プラスチック製の極小ヘッドに接着されていて、通常のねじ止め式ではまず不可能な軽量化を実現しています。

1と2により、カートリッジも含めたピックアップ全体の等価質量は9.5グラムという驚異的な軽さを達成しています。そしてそれによって、(当時としては)ハイコンプライアンスな針を使っているにもかかわらず、共振周波数は12〜13Hzと非常に高くなっています(当時の本には「現在の市場に出ている製品の中では最も高い値」と書いてありました)。レコードの反りや偏芯、外来振動の影響を避けるためには、共振周波数はできれば10Hz以上、せめて8Hz以上にすることが望ましいと言われていますが、実際にはかなり注意しないとなかなか達成できない値なんですよね。

3.インサイドフォースキャンセラー
70年代以降のグレースのアームについているインサイドフォースキャンセラーは、アームリフターとともにアーム本体に取り付けられており、また錘の位置でキャンセル量が調整可能であるなど、使いやすく洗練されたものになりましたが、Σ-709のは(たぶんグレースでは初めてのインサイドフォースキャンセラーではないでしょうか)別途キャビネットに穴を空けてバーを立て、そこに錘の付いたテグスを引っかけるというやや面倒な方式でした。キャンセル量の調整もできません(カートリッジが交換できないので調整の必要もないということだと思いますが)。

4.針圧調整
70年代以降のアームは、通常目盛り付きのメインウェイトを回転させることで針圧調整ができますが、Σ-709のメインウェイトは前後にスライドさせてねじ止めする方式で、目盛りもないため、別途針圧計を用意する必要があります。
というわけで買ってしまいました↓。
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・・・とまぁこのように、非常に興味深い一品なわけですが、なにせ40年以上昔の製品ですから、程度が良い品物を手に入れるのは非常に難しいだろうなと思いつつ頭の片隅に留めていたのですが・・・。いやー。とっても程度のいい品物が手に入ってしまいましたよ。
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しばらくあれこれいじって遊ぼうと思います。いやそうじゃないな。調整箇所とかほとんどないから。ひたすらレコードをあれこれ聴いて楽しもうと思います。


インテグレーテッド・ピックアップ グレースΣ-709 その1

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久々のオーディオネタです。

オーディオの世界では、通常トーンアーム(あるいはキャビネットにトーンアームとフォノモーターを取り付けた、いわゆる「レコードプレーヤー」)とカートリッジは別売です。
多くのメーカーがそれぞれ特徴のあるカートリッジを出しているので、好きなものを選べるように・・・ということですが、一方でトーンアームとカートリッジは一体のものとして設計するのが理想ではあります。
また、カートリッジを交換可能にするために、ヘッドシェルという部品にカートリッジをビスとナットで取り付け、これをねじ止め式のコネクターでトーンアームに取り付けるという方式が日本では(あるいはDJの分野では)一般的ですが、これらの機構が軽量化と高剛性化を両立させる上で非常に大きな障害となります。特に針先がやわらかく動き、軽い針圧でかけられるタイプの(いわゆる「ハイコンプライアンス」の)カートリッジでは、ピックアップ(トーンアームとカートリッジの総称)を軽くしないと最低共振周波数が下がりすぎて、いろいろな弊害が出ます(このあたりの議論はここここで書きました)。
だからといって、星の数ほどもある(大げさ)カートリッジそれぞれについて、専用のトーンアームを作るわけにもいきません。
なので、カートリッジとトーンアームを一体化したピックアップのほとんどは、放送局等で使われる業務用プレーヤーか一般消費者向けの安価なプレーヤーのいずれかなわけですが、オーディオマニア向けに作られたものも稀に存在します。グレースΣ-709はその数少ない例の一つです(たぶん続く)。

■グレースΣ-709。ヘッド部分の驚異的な細さ(グレースF-8そのものの幅しかない)をはじめ、スリムでスマートなデザイン。
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パイオニアMU-41のプラッターの軸受けのメンテナンスにトライ

先日ヤフオクで入手したパイオニアのフォノモーターMU-41ですが、プラッターの軸受けに使われているプラスチックの板が長年使用するとボロボロになるという話を耳にし、Vinyl Engineなどでいろいろ調べてみました。まだ十分に読み切れていませんが、
・軸受けの底に敷いたデルリンというオレンジ色のプラスチックの円盤に、プラッターにつながる金属製の軸が乗っかるような形になっているらしい。で、回転する重い軸を長年支えるうちに、ボロボロになったり割れたりするということのようです。
・対策としては、プラスチックの円盤を交換することになりますが、40年前の製品なのでメーカーに補修部品などあろうはずもなく(ベルトはあるんですけどね。パイオニア偉い!)、自分で作ったりしているようです。プラスチックにもいろいろあるようですが、テフロンが「現在までに発見されている物質の中で最も摩擦係数の小さい物質である」ためか推奨されているようです。

てなわけで、ばらしてみました。
まずは、ターンテーブルシートとモータのカバーだけを外した状態。

プラッターを外すとこんな感じ。真ん中の軸受け部分は三つのねじを外せば取り外せます。

外した軸受け部分。底がキャップ状になっていて、左に回すと外れます。
軸を受けるプラスチックの板ですが、オレンジ色の板(本来は1.5ミリくらいあるものが1枚入っているらしい)らしきものはなく、金属板+極薄のプラスチック板3枚が重なっていて、全体をオレンジ色のベタベタ(グリース?)を覆っている状態でした。おそらく前の持ち主が自分なりに対策したのではないかと思います。

グリースを拭き取り、自力調達したテフロンの円盤(↓)を入れて組み立てます。

ということで、とりあえず無事に動作はしているようです。
ただ、軸が接触しているのは底部だけではなく、軸の側面を周囲から取り巻く穴との部分も注油しなきゃならんような気がするのですが、どういう潤滑油を使えばいいんだろ。なんとなくテクニクスSL-1200用のやつとかでいいような気がするんですが。アドバイス求む!
あとモーターの注油。こちらはマニュアルに時々やるよう指示されているんですが、ミシン油とかさらさらのやつでいいのかなぁ(そういう話がVinyl engineに書いてあったような)。