月別アーカイブ: 2012年7月

Blossom Dearie “Winchester in apple blossom time”

ということで予告通り買ってしまいました。ブロッサム・ディアリーの”Winchester in apple blossom time”。何回か聞きましたが期待にたがわずすっごく良いです。ちょっとクラシカルな優雅な響きのピアノと唄だけというシンプルきわまりない作品ですが、じっくり聞くととても沁みます。

ところで、ウィンチェスターってどういう街なのかなと思ってwikipediaを見てみました。なんか独立戦争や南北戦争などアメリカの歴史上の出来事に深く関わっている街のようです。さらに読み進んでいくと、「シェナンドー・リンゴの花祭り」のことが書いてあります。歌詞カードを見ると、1曲目のタイトルナンバー”Winchester in apple blossom time”の脚注に、”written and adopted by the fiftieth anniversary apple blossom festival in shenandoah as their official song, april 1977″と書いてあるのはこれのことなんでしょう。約25万人の見物客が訪れるとのことなので、なかなか立派なお祭りのようです。

それにしても、歌詞にも出てくるShenandoahとかVirginiaとかの地名を聞くとすぐに思い出すのがジョン・デンバーのカントリー・ロードなんですよね(この曲の歌詞の地理的な面に関するWikipediaの解説はちょっと面白いです)。あの曲のフォークでカントリーなイメージがすごく強いので、”Winchester in apple blossom time”のようなジャズっぽい(ということもないか。でも少なくともフォークでもカントリーでもないと思う)曲がお祭りの公式ソングに選ばれたというのは、ちょっと意外な気もします。

逆にいうと、歌詞がカントリー・ロードみたいなのに曲や演奏がこんな感じというのが、この時期のブロッサム・ディアリーの面白さかも(本人が歌詞を書いているわけではないけど)。

なお、ブロッサム・ディアリーのライブ映像はそんなに多くないようですが、”Winchester in apple blossom time”はこちらで見られます(2曲目)。1985年というからブロッサム・ディアリーが61歳のときの映像ですね。レコードではロン・カーターのベース+ブロッサム・ディアリーのエレピですが、こちらは生ピアノの弾き語りです。個人的にはこっちの方がいいなぁ(レコードも他の曲はみんなこういう感じ)。


Blossom Dearie “Blossom’s own treasures”

先日ブロッサム・ディアリーのCDの感想を書いたけど、どうやらそれを読んだらしい4畳半BOSSA NOVA生活のエコーのramuchi2000GTさんより、

「70年代のエレピものを是非聴いてください。ドナートみたいですよ。」

という情報が。ありがたや〜。
ということで買ってみました。”Blossom’s own treasures”。ブロッサム・ディアリーは60年代まではヴァーヴやキャピトル、フォンタナといったメジャーレーベルから作品をリリースしていたようですが、73年に彼女の腹違いの兄であるウォルター・バーチェットを社長に迎えた自主レーベル、ダフォディル・レコードを設立、以後約30年間にわたってアルバムをリリースし続けたとのこと。”Blossom’s own treasures”は、そのダフォディル・レコードから出したアルバムに収録されたオリジナル曲を集めたもので、堂々の2枚組です。私は60年代のアルバムを聴いていないので、ダフォディル設立以前にブロッサム・ディアリーが曲を作っていたかどうかはよく知らないけど、ダフォディルのファーストアルバムのライナーノーツには”in recent years she has produced over thirty tunes”と書いてあるので、ダフォディル設立頃から精力的に曲を書き始めたという感じではないかと思います。
で、”Blossom’s own treasures”ですが、エレピ(生のピアノもあるけど)とエレベとドラムで繰り出す音楽は、もう全然ジャズではないです。70年代のSSWというかAORというか。先日紹介した50年代のアルバムが完全にジャズだった(しかもオリジナル曲はボーナストラックの1曲だけ)ことからすると、隔世の感があります。でも、無理に時代に合わせようとしているような痛々しい感じは全くなくて、時代とともに音楽を続けてきたらこうなった、といったナチュラルなたたずまいなんですよね。
という感じで気持ちよく1枚目を聞き終えて、2枚目を聞き始めたんですが・・・2曲目から5曲目の、ベースもドラムも入っていない、ブロッサム・ディアリー一人のピアノ弾き語りがすごい!すばらしい!1枚目はリラックスして気持ちよく聞いたという感じだけど、こちらはなにやらセイクレッドな気品のようなものすら漂う唄とピアノ。村上春樹が80年代後半にロンドンで聞いた演奏がこういうものだったのなら、それはそれは感動的な至福の時だっただろうなと思います。
ライナーノーツを見たら、これらの曲は”Winchester in apple blossom time”というアルバムに収録されているとのこと。アマゾンのレビューやらこことかこことかを見ると、このアルバムに特別な思いを抱いている人がいることがわかります。なるほど。
というわけで、こちらもアマゾンで即ポチッとしてしまいました。たぶん聞いたらまたレビュー書くと思います。

なお、ブロッサム・ディアリーは1924年生まれなので、ダフォディル・レコードを設立した1973年には49歳。”Blossom’s own treasures”に収録された曲のほとんどは50代で書かれたことになります。
だからというわけではないけど、歌詞の内容をちょっと見てみたいです(スリーブには英語の歌詞は載っている)。ブロッサム・ディアリーが書いたのは曲だけで、歌詞は他の人が書いていますが、こういうことを歌いたいとか、これは自分の感じ方とは違うとかいった意見を、作曲者でもあり歌手でもある立場のブロッサム・ディアリーが作詞者に全然言っていないということもなかろうと思うので。


Bossa Praia “mar, amor, luar”

先日、ケニーさんとレイちぇるさんのボサノヴァユニット”Bossa Praia“のライブを見に、西荻窪のZizi Annabelleに行ってきたのですが(ジャズ系の和気藹々とした対バンライブでした)、そこで先日リリースされた彼らのファーストアルバム”mar, amor, luar”をゲットしました。
朝の電車の中で聞いてみたけど、夏によく似合う気持ちよい音楽だと思いました。オリジナル曲はとてもロマンチックでスイート。でも、平日の朝から聞いたら、仕事なんかほっぽりだしてどっかに行きたくなりますな(うそ)。あと、ライブでもそうだけど、ラストのAs Praias Desertasは良いというか、好きな曲なんだなというのが伝わってくる気がします。
何はともあれ完成おめでとうございます〜。


ベーシックな和食


というわけで、久々に和食。
豚汁にいわしの塩焼きに漬け物(キャベツと茄子)にご飯。平日だけど米も炊いたし豚汁も作った(もちろん魚も焼いた)。いやー。やっぱりいいです和食。しみじみうまい。特に豚汁のごぼうの香りがたまらん(大根買うの忘れたけど)。
漬け物は今まで漬けた中では一番良いです。といってもまだまだだけど、もう少し試行錯誤すればもっとよくなりそう。
なお、今晩はいわしの代わりに納豆卵が登場する予定。


Blossom Dearie “Blossom Dearie “

何度か紹介している村上春樹のヨーロッパ旅行記「遠い太鼓」に、ロンドンでブロッサム・ディアリーのライブを見に行った話が出てきます。
ブロッサム・ディアリーという人のことは全然知らなかったのだけど、
・ジャズの人らしいこと
・「懐かしい」と書いてあるので、少し昔の世代の人らしいこと
・ピアノを弾いて唄う人らしいこと
・オリジナル曲を作る人らしいこと
といったことがわかりました。あと、たしか「酸いも甘いもしっかりかみわけた大人の音楽(最近そんな大人が少なくなった)」みたいなことが書いてあったような。村上春樹って、このあたりのクサい感じが時々にょろっと顔を出すところが困ったもんだと思いますが、何はともあれ何となくブロッサム・ディアリーという名前は記憶の片隅に残り続け、最近ふとしたきっかけで本人の名前を冠したアルバムをアマゾンでポチっとすることになったのでした。
残念ながら本人の自作はボーナストラックとして入っているBlossom’s Blues一曲だけですが、1956年の作品らしくいかにも50年代のジャズという感じ。唄は、節回しはジャズっぽいけど(しゃくったりポルタメントしたり)やりすぎでなく、ビブラートもほとんどないという、割とあっさりとした感じで、私の好きなタイプ。どうも節回しごりごり、ビブラート過多ないわゆるジャズボーカルってあまり好きじゃないんですよね。
次はオリジナル曲が入っているアルバムを聴いてみたいです。