月別アーカイブ: 2014年10月

ヒューストン

昨日の記事で取り上げた「Jazz The New Chapter ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平」の中に、グラスパーの経歴についてこんなことが書いてあります。

彼は地元ヒューストンのハイスクール・フォー・ザ・パフォーミング・アーツへ進学。ミュージシャン、俳優、声優、コメンテーターなど、様々な人材を輩出するこの名門高校のジャズ科で、楽曲やハーモニーなどの理論の基礎を学んだ。

また、同書の山中千尋のインタビューでも、「今活躍する多くのミュージシャンを輩出しているヒューストンの高校」という言及があります。

ヒューストンといえば、先日取り上げたマルキオーネ・ギターズもヒューストンにあります。
マルキオーネを知るきっかけになった、渡米してマルキオーネで働いている方の膨大なブログ、まだごく一部しか読んでませんが、ヒューストンの地元の音楽シーンのようなものがおぼろげながら伝わってきます。
「さすがアメリカ、ヒューストンなどというローカルな街でもちゃんとそれなりの音楽シーンががあるんだな。それにしてもなんでマルキオーネみたいなトップレベルと目されているらしいギター製作家がヒューストンなんかにいるんだろう」なんて思ってましたが、どうやらそれは思い違いだったようです。
ウィキペディアを見ると、ヒューストンは人口約210万人と全米で4番目に大きい都市で、都市圏人口は592万人。日本で言うと、名古屋が市自体の人口(228万人)も都市圏人口(532万人)もだいたい一緒ですね。
でも、これまで読んできたアメリカのポピュラー音楽に関する書き物で、ヒューストンという街がクローズアップされたことってあったかなぁ。見落としていただけかもしれないけど。
うーむ。


「Jazz The New Chapter ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平」

現代音楽とは何か、誰に聞いても明確な答えは返ってこない。答えはあるのだが十人十色で結局何が何だかわからなくなる。現代音楽とは20世紀に作曲された音楽のことである。ではロックも演歌も現代音楽か、ということになってしまうので、クラシックに限ると註をつける。しかしクラシックとは何なのかという大問題にひっかかってしまう。
(長岡鉄男編集長の本―ヴィジュアル・オーディオ・パワー)

先週末、近所の本屋の音楽雑誌のコーナーを眺めていたら、「Jazz The New Chapter 2」というムック本が平積みされていました。へえ、と思って手に取ってみたら、その下にあるのは別の雑誌。だれかが元の場所に戻すのが面倒で適当に置いていったようです。
それはともかくとして、「Jazz The New Chapter 2」をちらちらと眺めてみましたが、いつまでもマイルスやらコルトレーンやらエヴァンスやらじゃないだろう、長年メディアが取り上げなかった現在形のジャズに光を当てるのだ、という趣旨の本らしい。載っているアーティストも聞いたことない人ばかり。
そういうことなら、まずChapter 1から読んでやれと思いましたが、その本屋には置いてなかったので、家に帰ってアマゾンに注文。サブタイトルに名前を記されたロバート・グラスパーという人についても知らなかったので、Black RadioというCDも併せて注文しました。Chapter 2を買う時はその本屋で買うから許してくれー。
で、一昨日届いたので、まずはBlack Radioを聞いてみました。うん、なかなかいいんじゃないかな。いいんだけど・・・でもこれってジャズ? たぶん予備知識ゼロの状態でこの音楽のジャンルは何かと問われたら、R&Bなどと答えるんじゃないかな。頭に「ジャズっぽい」という形容の言葉は付くかもしれないけど。
となると、これを「Jazz The New Chapter」と呼ぶ時の「Jazz」って何という話になりますよね。もちろんそういうことはこの本では先刻承知で、いろいろな人がいろいろなことを書いてます。例えばスタイルの継承ではなく姿勢や精神や文化の継承が重要なのだと書いている人もいます。そういう考え方に全く不同意、というわけではないのだけど、多様な姿勢や精神や文化を持って音楽をやっている数多の音楽家の誰が「Jazz」の継承者で誰がそうでないかを、好き嫌いのような恣意性で裁断してしまう可能性があるんじゃないかな、という気もしました。
何となく思ったのは、バークリー的な教育機関と教材によって育成された人がマジョリティとなって支えているのが現代のジャズ世界なんじゃないかということ。もちろん、そういうふうに育成された人でジャズをやらない人もいるし、そういう教育を受けていなくてジャズをやっている人もいるわけだから、厳密な定義にはなり得ないんだけど。
で、冒頭の長岡鉄男の話に戻ると、現代音楽って何か、クラシックって何かという話と共通するものがあると思ったんですよ。芸大や国立音大のような教育機関によって育成された人がマジョリティとなって支えていることが、現代音楽を含むクラシックというジャンルを特徴づけていると考えると、わりとすっきり整理できるんじゃないか。

・・・とここまで考えた時に、さて「Jazz」に「New Chapter」を開かねばならぬという問題意識は自分に取って切実かというと、自分はその村の住人じゃないよなーという気が・・・。
ただ、Jazzジャーナリズムが「New Chapter」を開かなかったが故に、この本で紹介されているような音楽が長らく紹介されてこなかったのであれば残念なことだと思うし、この本が「New Chapter」を開くことに大きな意義はあると思いました。

というわけで、なんか面倒な話になったけど、単純に未知の音楽家の未知の音楽を少しずつ楽しんでます。

 


ホドロフスキー「エル・トポ」

オーディオ評論家の故・長岡鉄男が、亡くなる前年に出版された「長岡鉄男編集長の本―ヴィジュアル・オーディオ・パワー」という本で、編集者の故・安原顯のインタビューを受けているのですが、今まで見た映画ベストスリーを問われ、一番に挙げたのがホドロフスキーの「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」でした。
ホドロフスキーという名前はなんとなく聞いたことがあったけど、「エル・トポ」も「ホーリー・マウンテン」も見たことがなかったので(もともと映画はそんなに見る方ではないんですが)、ふーんどんな映画なんだろと思いつつ(安原顯は「幻想的な不条理劇」と表現してましたが)そのままになってました。

それから15年。近所のTsutayaで「エル・トポ」のDVDを発見。おお!と思って即座に借りて、見てみました。
うーむ。こういう映画だったのか。

・あらすじ
ウィキペディアにあるとおり、わりとちゃんとしたストーリーがある感じです。西部劇仕立てだけど、メキシコ映画ということで(ホドロフスキーがチリ出身ということもあるかもしれないけど)ラテン風味が感じられます。
・残虐
とにかく大量の死体(人やらウサギやら)が登場し、人がどんどん殺され、おびただしい血が流れます。でも、あまりグロい感じがしないのは、もっとグロい映像が世の中に氾濫するようになって感覚が麻痺したからなのかな(基本的にそういうのは苦手なので近寄らないようにしている)。でも、必ずしもそうでもないような気もする。
・変、ユーモラス
バックグラウンドにチベットの仏教音楽が流れ、登場するガンマンは最初に登場する中佐を除くと、およそガンマンのイメージとはかけ離れた、神秘的な修行者みたいな連中ばかり。音声も変で、主人公と恋人につきまとう女の声はどう聞いても男そのものだし、息子を殺された母親は鳥か小動物みたいな声を発し、最後に対決したガンマンに自殺された主人公が衝撃の雄叫びを上げるシーンには、チベットのチャルメラっぽいホルンの音が(たまたまBGMと重なっただけかもしれないけど・・・やっぱり雄叫びとして使っているような気がする)。最初の方で登場する中佐(だっけ)が主人公にチン○コを切られ、素っ裸のまま股間を押さえながらよろよろと歩いていって自殺するシーンも陰惨なんだけどなんだか笑える・・・。
・哀しみ
息子は父親に捨てられ、父親は恋人に捨てられ、母親は目の前で子供を殺され。地底世界で暮らす人々は待望のトンネルが完成して麓の街に殺到して街の住人から撃ち殺され・・・。なんか、じんわりと来る哀しみのようなものがあったように思います。

今まで見た映画の中でベストワンかと言われるとアレだけど、なんとなく妙な引っかかりのある作品ではありました。
「ホーリー・マウンテン」見ようかな、どうしようかな・・・。

  


「オールドレンズ・ライフvol.2」

Dマウントレンズについて、何かまとまった情報源(要するに本)はないかなーと思っていたところ、しほたつさんのブログで「オールドレンズ・ライフ」というムック本について言及が。
さっそく出版元の玄光社のサイトに行って検索してみました
内容について割と詳しい説明があったので読んでみましたが、vol.1にはDマウントの話は載っていないようでした。vol.1が出た頃はまだPentax Qが発売されていなかったのかな。
vol.2になるとDマウントの話がいっぱい出てきます。Chapter.4は「はじめてのシネレンズ」だったり、かなり面白そう。
ということで、vol.1はスキップしてvol.2を買ってみました。いやーいっぱいDマウントの話や実際に映した写真がいっぱい載っていて面白い! 64ページには私がゲットしたKern Yvar 13mmF1.9が、錆びたハンドル付き鉄パイプ(?)のセピア色なむっちゃ渋い写真とともに載ってます。chapter.5はシネレンズ・コレクションということで、Dマウントのレンズもいろいろ載ってます。Kernの上位機種Switarの13mmF0.9とかいうすっごく明るいレンズが載ってますが、お値段もすごいなー。しほたつさんがお気に入りのSom Berthiot Cinor B 12.5mmF1.9はメカニカルなKernに比べるとやっぱりデザインがちょっとお洒落。

・・・昨日は天気もいいし、カメラ持って散歩に出かけようと思っていたのだけど、午前中にパイナップル酒を仕込んだら疲れてしまって午後はあえなく昼寝。うう。


胃カメラを呑んだ。

以前から喉に痰がからんで唄に若干支障が出る状態が続いていました。

最初に行った職場の近くの耳鼻咽喉科の見立てでは、鼻炎により生成された鼻汁が喉の方に流れていって痰になるのであろうとのこと。
というわけで、処方された抗生物質を2ヶ月くらい飲み続けました。
結果、鼻炎による鼻汁はほぼなくなったんですが、痰が引っかかる現象は改善はしたものの完治には至らず。
別の耳鼻咽喉科(声を職業としている人の間では有名なところらしい)に変えてみたんですが、あれこれ検査をしても見立てはほぼ一緒。
腫れ止めと痰を出やすくする薬とアレルギーの点鼻薬が処方されました。

そんなとき、たまたま逆流性食道炎の話を耳にしました。
胃の内容物とともに胃酸が逆流してきて、食道や喉のあたりを荒らすことにより、声が枯れたり喉に違和感を覚えたりするとのこと。
たしかに、時々胃の方から酸っぱいものがこみ上げてくるような感じがすることがあるので、もしかしたらこれかなと思い、消化器科を受診することにしました。

医師に症状を説明すると、胃カメラ検査をすることになりました。が、最速で2週間後だというので、それまでは逆流性食道炎の薬を飲むことに。
市販の薬ではガスター10がポピュラーなようですが、今回処方されたラベプラゾールという薬はさらに強力らしいです。
というわけで2週間薬を飲み続けましたが、たしかに酸っぱいものがこみ上げてくることはほとんどなくなりましたし、それに伴って喉の調子も改善されたような気がします。耳鼻咽喉科で処方された薬も奏効したのかもしれませんが。

胃カメラもいろいろあるようですが、今回やったのは経口内視鏡検査というやつです。
最近は鼻から細いカメラを通す経鼻内視鏡検査というのがあって、経口よりもずいぶん楽らしいのですが、カメラの性能的には従来型の経口のものの方がよいらしく、こちらでやることになりました。
とはいえ、これまで身の回りの胃カメラ経験者から胃カメラを飲み込む大変さをずいぶん聞かされてきたので、ただでさえ嚥下反射が強い私は大丈夫なんだろうかと心配になりましたが、私が行った病院では検査前に鎮静剤による麻酔を行ってくれるようで、これだとずいぶん楽らしい。ただ、検査が終わった後1時間くらいは休憩する必要があるとのこと。まあこれは勤務先で午前半休を取れば何とかなるでしょう。

で、いよいよ検査の日がやってきました。
食事は前日21時までですが、それ以後も水やお茶は飲んでいいし、当日朝も水一杯くらいならいいとのこと。人間ドックのバリウム検査は前日21時以降絶飲食なので、それよりは楽です。
朝は8時半集合。ベッドに横になり、点滴と採血の針を刺され、真ん中に胃カメラを通す穴の空いたマウスピースのようなものを咬まされ、少し経ったところで意識消失。
意識が戻ったら何もかも終わってました。こりゃ楽だわー。
しばらく休憩した後、医師から結果説明を受けました(写真も見せてくれました)。ガンだとか潰瘍だとかびらんだとかいった重大な問題は特になく、ごく小さなポリープはいくつかあるもののわざわざ切るほどのものでもなく、もうしばらく胃酸を押さえる薬を飲み続けるくらいでよかろうとのこと。
あと、喉の違和感など逆流性食道炎の症状と目されるものの原因の半分くらいはストレスだとのこと。うーむ。。。

ま、重大な問題はないとのことなので一安心。
あとは、もらった薬を飲み続けてどうなるかですが、今のところは割といい感じになってきている気がしますし、先日のムリウイのライブも声の調子はだいぶ良くなってきたように思います。