アナログプレーヤいじり その9~ピックアップの低域共振周波数を計ってみる その2

では、共振周波数はどのように決まるかです。

 昨日のエントリーで、ヨーヨーの場合、風船が重いほど、ゴムの強さが弱いほど共振周波数は低くなると書きました。これをピックアップに当てはめて考えてみると、
1.針先から見たピックアップ全体の質量(これを「実効質量」といいます)が重いほど共振周波数は低くなります。
2.針を支えるゴム(ダンパー)が弱いほど共振周波数は低くなります。ダンパーの強さは「コンプライアンス」という値で表現されますが、これは平たく言うと「グニャグニャ度」を表すもので、ダンパーが弱いほどグニャグニャ度すなわちコンプライアンスは大きくなります。
 で、計算式は以下の通りとなります。共振周波数はf0(単位はヘルツ)、実効質量はmt(グラム)、コンプライアンスはcb(100万分の1cm/dyne)です。

 では具体例で計算してみましょう。デノンDL-103というカートリッジをサエクWE-308というトーンアームに取り付けた場合の共振周波数を計算してみます。
 まず、コンプライアンスですが、デノンDL-103のスペックを見ると5(100万分の1cm/dyne)となっています。
 次に実効質量ですが、これはちょっとややこしい。「レコードとレコード・プレーヤ」に次のようなグラフが載っています。

 横軸の「ヘッド重量」というのは、カートリッジとヘッドシェルの重さを足したものです。DL-103の重さは8.5グラム、WE-308のヘッドシェルの重さは7.3グラムなので、足すと15.8グラムということになります。
 で、ヘッド重量が15.8グラムのときの実効質量をグラフから読み取ると、だいたい26.5グラムくらいでしょうか。
 これらの値を上の計算式に代入すると、共振周波数は約13.8Hzと算出されます。昨日のエントリーで紹介した望ましい共振周波数の値は10-15Hzですから、めでたしめでたし、ということになります。
 ・・・が、「レコードとレコード・プレーヤ」にはこんなグラフも載っています。

 一番上の曲線がピークに達しているところの周波数が共振周波数ですが、約8.5Hzと読み取れます。計算結果と全然違うやん!
 原因はよくわかりませんが(僕が何か思い違いをしている可能性はもちろん大いにあります)、上のグラフはいずれも実測データなので正確な値であると仮定すると、DL-103のコンプライアンスが公表値よりも高い可能性があります。
 試しに共振周波数を8.5Hzとしてコンプライアンスを計算してみたところ、13.2(100万分の1cm/dyne)となりました。「レコードとレコード・プレーヤ」にはDL-103をSME-3009S2というトーンアームに取り付けた場合のグラフも載っているので、試しにコンプライアンスを計算したら13.3(100万分の1cm/dyne)。なかなかよく一致しています。
 DL-103はコンプライアンスが低いカートリッジの代表格であり、ヘビー級のヘッドシェルやトーンアームに取り付けても共振周波数が下がりすぎる心配がない、という話を時折耳にしますが、もし実際のコンプライアンスが13.2~これは決して低い値ではないと思います~だとしたら、そうともいえないのではないか、という気がします。
 というわけで、共振周波数が適切な値になっているかどうかは、単に計算するだけでなく実測して確かめる必要があるのではないか、という気がしています。が、どうやって実測すればいいんだろ。だれか教えて下さい(現在試行錯誤中)。


アナログプレーヤいじり その9~ピックアップの低域共振周波数を計ってみる その2」への8件のフィードバック

  1. レコードプレーヤー

    レコードプレーヤー

    レコードプレーヤーでレコードのデジタル化レコードプレーヤーなんてもうあんまり見ないでも田舎ではまだ父が古い浪曲をレコードプレーヤーできいているさすが浪曲聞くなんてみんなに言ってもなにそれだろうけど、、小さい頃父と弟と三人で良くレコードかけ…

    返信
  2. てっちゃん

    低域共振周波数測定用レコードをご紹介します。
    1)日本オーディオ協会AD-1(廃盤)
    2)MJ無線と実験MJテクニカルディスク第3集『月の光』
    このLPのLチャンネルには3Hz、4Hz、5Hz・・・・15Hzまでの超低域信号が記録されています。
    Rチャンネルには1kHz信号が記録されています。
    トーンアーム+カートリッジで形成される共振周波数にてトーンアームが激しく震え、Rチャンネルに記録された1kHz信号が振幅変調を受けて「ワゥ・ワゥ・・・」というように聴こえます。
    ※これら2枚のテストLP(復刻盤)は私が制作しました。

    返信
  3. heli

    >てっちゃんさん
    初めまして!
    測定用レコードに関する情報をお寄せいただき、ありがとうございました。今後の参考とさせていただきます(といいながら、ここしばらく、すっかりオーディオさぼってしまっているので、なんだか申し訳ない気分です・・・)。

    返信
  4. 某氏

    コンプライアンス表示にはスタティックとダイナミックの2種類ありまして
    スタティックはDCで測った場合の変移/加重、ダイナミックの方は100Hzで測った場合
    となり、後者にはダンパの粘性抵抗(単位はcm/s/dyneの逆数)も込みになっていて
    コンプライアンス値としては小さくなります。
    共振周波数とバネ上実効質量から計算した値は両者の間の値になります。
    雑誌や広告の編集や小論文では、ものごとを突き詰めないことが大切ですので
    この辺の一般向けの解説はあまりなされてこなかったようです。

    返信
  5. ダミアン

    いろいろとネットみていたら、ココに行き着きました。
    共振周波数のf0の式にある「159」はどこから出てくるのでしょう。
    ご教示いただければ幸いです。

    返信
    1. heli

      はじめまして!ご質問の件ですが、159というのは1000/2πです。おおもとの式では1/2πなんですが、コンプライアンスの単位が100万分の1cm/dyneなので、その平方根1000が乗じられることになる、ということのようです。

      返信
      1. ダミアン

        ご回答ありがとうございました。
        すみません。ホームページをリンクしていたファイルが見つからなくなり、ご連絡遅くなりました。
        重ね重ねありがとうございました。

        返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*