ボサノヴァ初期の女性ヴォーカル

HMVに12月中旬に注文していたCD2枚がようやく届きました。
いずれもボサノヴァ初期の女性ヴォーカルです。
■Alaide Costa/Canta Suavemente
 以前書いた「おまえの悲しみが泣く(Chora tua tristeza)」のオリジナルバージョンが入っているアルバム。早速聞いてみましたが、作曲陣は確かにボサノヴァ関係者が勢揃いしているものの、アレンジや唄い方はあまりボサノヴァっぽくなく、「“最初のボサノヴァの曲”と呼ばれるようになる歌だ」というのはあまりぴんときません。アライヂ・コスタの声は若々しくて良い感じですが。ちなみに、ジャケットの曲目リストには1曲ごとにジャンル(といってもsambaかsamba-cançãoの2つだけです)が書いてあるのですが、この曲は”samba”になってます。
Barquinho Bossa Com Maysa
 これまた以前書いた「小舟(O barquinho)」のオリジナルバージョンが入っているアルバム。こちらは、バックがタンバ・トリオご一行様のためボサっぽさが増していますが、唄はマイーザなのでボサノヴァとしてはちと濃ゆいです。


 ボサノヴァの女性ヴォーカルというと、アストラッド・ジルベルト系のヘタウマカマトトヴォーカル-というと語弊があるか。ノンビブラートでさらりと唄う非情念系ヴォーカルとか言った方がいいのかな(けなしているわけじゃありません。そういうヴォーカルは大好きです)-が定番化してるけど、それ以前はサンバ・カンサォンの伝統を引き継ぐ情念の香りが濃厚な(といっても昔よりはモダンな感じになっていたようですが)唄が主流だったようですね。ジョビンの曲の多くを初演したらしいシルヴィア・テリスとかもそんな感じだし。
 そういう意味では、ジョアン・ジルベルトの唄ってボサノヴァ初期には相当ユニークなんだったんだろうなと思うし、いわゆるボサノヴァっぽい唄い方が一般的になったのはゲッツ・ジルベルト以降、第二世代(ワンダ・サーとか)が台頭した時期だったのかなとも思いました。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*