さて、新作のフィロカリア。
収録曲はいずれもライブで耳にしたことがあるものですが、彼らの場合はライブでも毎回演奏の仕方が変わるくらいなので、レコーディングバージョンは当然のようにいろんなことをやっていて新鮮です。しかも「いろんなこと」をやる手つきがとても楽しげなんですよね。
構成的にも、ワンルーム・ダンシンからフィロカリアまでの4曲はリズムが効いたポップな曲。ゆりの花と唯一のカバーThe Water is wideをゆったりじっくり聴かせて、キリエとRomeoはディープな世界に引きずり込む伝統の名曲。ポルカを挟んでタリスマンでまたリズミカルなポップに戻して締める。という具合にアルバムらしいしっかりとした流れがあるので、これはやはり通しで聴きたいところ。
そんなわけでベストトラックという考え方そのものがなじまないかもしれないけど、敢えて言うならタイトルナンバーのフィロカリアかな。ライブでデュオで聴いていてももちろん良い曲だったのだけど、スタジオ版ではシンプルなバンド編成のバッキング(特にドラム!)がとても素晴らしくて、この曲のポップさが最大限引き出されている感じ。