その後、今日に至るまでの二十数年間にあれやこれやといろいろ聞いて、それなりに知識も増えたわけですが(当社比)、割と後になってから(それでも今から十年くらい前かな)聞いたのがナラ・レオンの1971年の作品「美しきボサノヴァのミューズ(Dez anos depois)」。
ボサノヴァを生み出した環境で幼少期を過ごしながらも、自らの音楽活動は脱ボサノヴァ的な時代と立ち位置からスタートし、その後ブラジルの軍政の圧迫からパリに逃れた際に創った作品、というようなことはおぼろげながら知ってはいました。ボサノヴァの時代が過ぎ去ってから十年後(Dez anos depois)に遠い異国で唄うボサノヴァということで、深いリバーブのかかったしっとりと昏い(感傷的とも言えるかもしれない)音楽に魅力を覚えました。もっとも2枚組24曲というボリュームもあって、じっくり聞き込むというよりも通して聞き流すようなことが多かったのだけど。
この曲の歌詞はアメリカ人の書いた英語詩ですが(いきさつはWikipedia参照。なんか音楽業界ってこの手の話って多いですよね)、実は今回聞き込むまで曲全体が英語の歌詞だとは気づいていませんでした。「何聞いてるんだ」と思われそう。いや、途中で”I love you, I tell you,…”と唄っていたりするのは認識していたけど。。。まあ、その程度の聞き込み具合だったということで。
で、詩の内容はいにしえのアメリカのスタンダードナンバー的に王道で、男が恋する女に向かって「あなたは私に何を求めているの。あなたの望むことは何でもやるから行かないで。僕を愛して」云々と訴えるもの。なんともストレートな内容なのですが、その中でひとつ気になったのは、
like a soft evasive mist
you are, Bonita
というくだり。この歌詞で唯一知らない英単語はevasiveだったのですが、訳すと
というわけで、弾き語りも前回のEste seu olharから3ヶ月ぶり。こちらは割と短めのインターバルです。まだいろんな意味で自分には「音楽の肥やし」が足りないような気がしていて、少し頑張っていろんな曲に取り組もうとしています。
今回はWave。説明の必要もない有名曲ですね。結構私のレパートリーからは有名な曲が漏れていたりします。例えばSó Danço SambaとかMas que Nadaとか。まあそれでも好きな曲しかやる気はないですが。
というわけで、ひさびさに弾き語り動画をアップします。
「Pra Que Discutir Com Madame?(マダムとの喧嘩はなんのため?)」。
2003年の初来日公演ライブアルバム「João Gilberto in Tokyo」のライナーノーツで「コンサート中盤のクライマックスシーンだった」と評されている曲です。
私もライブを見に行って、当時この曲を知らなかった程度のにわかファンでしたが、こりゃすげぇと感動したのを覚えています。
当時の私はヤマハのフォークギター教室に通っているような人間であり(そもそも来日公演のことも当時の道玄坂ヤマハにポスターか何かが貼り出してあったのを見て知った)、ボサノヴァ弾き語りなぞ全然やってなかったので、将来自分が曲がりなりにもこの曲を演るようになるなどとは思いもしませんでした。
この17年間も無駄ではなかった、年をとるのも悪いことばかりではないと、なんだか感無量ではあります。