そもそも自分のblogに音楽の話がないのってどうよ、という気持ちは当初からあったのだけど、ひとつの場にネタ3つはちょっと多いかなぁと思ったこともあって、しばらくは音楽の話をするのをあえて避けてきました。
結局改正著作権法の話で発作的にオンガクのカテゴリーをスタートさせてしまったわけだけど、さていったい何の話から始めたらいいんだろ・・・。
などとあれこれ考えたあげく、結局blogの名前に採用させていただいたben wattのnorth marine driveの話から始めることにしました。
パンクが切り開いた更地というかカオスから徐々にいろいろなものが形をなしつつあった70年代末から80年代頭にかけて、将来ネオアコとかギターポップなどと呼ばれるようになる方向に、強い愛着を感じる作品が集中しています。具体的にはdurutti columnやyoung marble giantsのデビューからaztec cameraやeverything but the girlの(アルバム)デビューに至るまでの間の一連の作品です。いずれも神経のひりひりとささくれた部分をそっと撫でるような音楽。
のちにtracey thornとeverything but the girlを結成することになるben wattの唯一のソロアルバム”north marine drive”、そしてその前の年に発表された5曲入りEP”summer into winter”もそのような典型的な作品の一つです。durutti columnの初期作品とかもそうだけど、リバーブやディレイがたっぷりかかった幻想的なエレキギターを聞いていると、なんだか魂がざわざわとさざめき立ってきて、心ここにあらずという感じになってしまいます。あとはピアノやサックスが入るくらいの簡素な構成のバッキングに、決してうまくはないけど哀切なヴォーカルが乗っかります。スタイル的には、60年代初め以来英米のロック・ポピュラー界では忘れられたも同然だったボサノバを独自の文脈でよみがえらせたことも見逃せません(僕もそうだけど、この辺の音楽からボサノバに入り込んでいった人も多いと思う)。
現在発売されているCDには”summer into winter”全曲がボーナストラックとして収録されています。