ボサノヴァの歴史を読んで初めてマイーザという人のことを知ったのだけど(名前だけは聞いたことがあったかもしれない)、その印象(写真も含めて)は、どろどろに暗い情念の唄を唄う、浴びるほど酒を飲んでデボデボに太りトラブルまみれの女性歌手、みたいな感じでした。
そんな先入観を持って、マイーザのファーストアルバムとセカンドアルバムを2in1にした「マイーザの世界へようこそ」というアルバムを買って聴いてみたのですが…。うーん、なんか全然印象が違う。確かに歌詞の内容は明るいとは言えないし、唄にも時々「泣き」が入ったり、ぐっとくる唄い方になったりするけど、全体としては唄も曲もさらりとした感触でドロドロした感じはほどんどないじゃないすかね。
というわけで、先入観を取り払って聞いたら、若干20歳で全曲を作詞作曲し、年齢に見合わぬ大人な内容の詞をさらりと魅力的に歌う天才、という感想を抱くんじゃないかと思いました。
※でも、こういうませた詞を書く早熟な女の子って時々いると思う(男にこういうのはあまりいないような)。
その後のそれなりに長いキャリアでドロドロ系の人になっていくのかもしれないけど(その辺りはまだ全然知らない)、ファーストアルバムだけ聞いた印象はこんな感じです。
で、なんでマイーザの話をしようと思ったかというと、サンバの話の2つめを何にしようかと思っているうちに、サンバ・カンソンだってサンバのサブカテゴリーじゃんと思ったからなんですが、やはりジョアン・ジルベルトが愛したサンバで聞かれるようなサンバとは全然違うという印象です。時代も違うのだから当然なのかもしれないけど、これらが「サンバ」ということばで括られる共通点ってなんだろうと思ったりもします。