月別アーカイブ: 2016年6月

クラモトキョウコさん企画「オトノハvol.4〜one on one〜」

最近、シンガーソングライター的な匂いを有する楽器演奏者が増えているような気がします。

例えばyojikとwandaのwandaくん。めちゃくちゃ達者でなおかつ独特なスタイルのギターを弾くけど、一方で歌物の曲も作るし自ら歌も歌う。
そういえば、バンド編成の時に二胡を弾いている吉田悠樹さんがギター弾き語りをしているのを二度ほど見たことがあるけど、これまた実に独特な味わいの演奏でした。

こういうのって別に今に始まった話ではないかもしれません。
以前にも紹介したような気がするけど、イエスのスティーブ・ハウとクリス・スクワイアがセッションの合間にボブ・ディランを弾き語りしている映像を見て、ああやっぱりこういう人達なんだ、単に上手いギタリストとベーシストというわけじゃないんだ、と思ったんですよね。
そして、こういうところがイエスの音楽性に大きく影響しているという気がします。
(一方、リック・ウェイクマンやビル・ブルフォードはこういうことやりそうな感じには見えませんが)

先日クラモトキョウコさん企画の「オトノハvol.4〜one on one〜」を見たときに感じたのも、そんなことでした。
最初にレバさんとの演奏に接した時から思っていたのだけど、なんか「サポート」というより「デュオ」という方が近い感じなんですよね。レバさんのミニアルバム「Window」(今は入手できないようですが)とかでもアコーディオンは必要不可欠な要素になっているというか。もちろん別なアレンジはありうるだろうけど、そうなると全く別物になりそうな気が。
それはなんでなんだろうな、と思ってましたが、これはクラモトさん自身が作詞作曲や弾き語りをすることと関係がありそうな気がします。

もちろん、ひたすら楽器演奏に注力することを否定する意図は全然ありません。一つの楽器を究めた人の凄さのようなものは私なりに承知しているつもりです。
ただ、「シンガーソングライター的なところのある楽器演奏者」が奏でる音楽には何か独特なものがあって、私はその独特な何かにある種の共感のようなものを覚えるということなんだろうと思います。自分はあまり楽器が上手く弾けないので、憧れのような気持ちもあったりするのかもしれませんが。

オトノハは今回で最後ということだそうですが、また良い企画が実現することを期待しています。
というか、フレデリック書院をそのうち観に行かなくては。


真の顧客ニーズに応えるアマゾンに既存の小売業が太刀打ちできない理由。

(以下の文章には尾籠な内容が含まれています。ご注意下さい。)

今年も人間ドックの季節がやってきました。いや、別に年1回やればいつやらなければならないというわけではないんですが、私はだいたいこのくらいの季節にやっているということで。
で、いつも憂鬱なのが検便です。
採便シートというトイレットペーパーよりはしっかりしているが一応水には溶けるのでそのまま流せる特殊な紙を便器の中に敷いて排便し、便の表面をプラスチック製の爪楊枝のようなもので掻き取るというワークフローですが、この採便シートが2枚しか配布されません。採便は2回行わなくてはならないので、失敗は許されないということです。
お通じがコンスタントな人はいいと思うんですが、そうでない人の場合には朝起きて「今日はいけるんじゃないか」という不安混じりの希望的観測のもと、意を決して採便シートを便器にインストールしてトライするも、にっちもさっちもどうにもブルドッグという残念な事態が決して低くない確率で発生するわけです。日を改めて再挑戦するのはいいとしても、問題は採便シートです。さすがに一旦便器にセットしたものを引き上げて、必要に応じて乾かしちゃったりして再利用したりすると、自分の人生の大切な何かが終了するような気がするので、代わりにトイレットペーパーをたくさん敷き詰めるなどして挑戦するわけですが、トイレットペーパーというものは実に速やかに水が浸透してどろどろになってしまうので、その利活用は結構難しいものがあります。その他にも便器内の傾斜の問題などさまざまな論点がありますが割愛します。
一定年齢以上の人の多くは人間ドックや健康診断を受けることを考えると、以上のような悩みをお持ちの方はおそらく相当数にのぼると思われるので、採便シートを直ちに購入したいというニーズは決して小さくはないはずです。そこで、もしかしたら近所のドラッグストアで採便シートを売ってはいまいかと思って何件か回ったけど、どこも扱っていないとのこと。店員に採便シートの取り扱いを尋ねるのって結構恥ずかしいものであり、耐え難きを耐え忍び難きを忍んで尋ねているというのに。嗚呼。
というわけで、困ったときの神頼みというかアマゾン頼みで検索したら・・・。
あった!さすがアマゾン。ITを駆使して消費者のニーズを的確に把握し、かゆいところまで手が届くような品揃えを実現しておる。しかも対面販売の気恥ずかしさもない。これでは既存の小売業が衰退するのもやむを得ませんなー。商品名も「ナガセール」と基本に忠実です。
が。「通常2~3日以内に発送します」と書いてあるので今週金曜日の人間ドックには間に合わないじゃないか。でも、いま買っておけば来年以降の人間ドックでこのような朝の辛いお勤めをしないで済むだろうから、忘れないうちにポチッとしておこう。アマゾン万歳。


千鳥足で芋づるを引っ張る。

前回の続き。なんだか変な場所に来ちゃったなと思いつつ、引き続き芋づるを辿り続けてます。しかも今日はビール呑んでて千鳥足です。

石岡瑛子の「私デザイン」は、手がけたプロジェクトについて書かれた12の章から構成されています。
で、最初の章は1985年に公開された映画「MISHIMA」。実は、この映画のことを最初に知ったのは、またしてもという感じですがオーディオ評論家の長岡鉄男がこの映画のサントラ(厳密には違うようだけど)について書いたコラムででした。

・・・ジャケットは緒形拳扮する三島由紀夫だが、他に沢田研二、阪東八十助、永島敏行ら出演、監督はポール・シュレーダー、製作はフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスという豪華メンバーの映画だが、筆者は全然知らない。誰か見た人いる?・・・

なんで「全然知らない」のか。「私デザイン」の第1章の書き出しはこんな感じ。

映画「MISHIMA」は、ある圧力によって葬られたまま、完成から二十年以上立った今も日本では未公開になっている。

ちなみに、DVD等も日本では発売されていないようです。
だったら輸入して見てしまえばよいではないかということで、先日Amazon.comに注文し無事ゲットしました。もちろんリージョンコードの問題はありますが、そのあたりは何とかなるということで。
というわけで、今日見てみました。日本人の俳優が普通に日本語でセリフを言っているので、言葉については鑑賞上なんの問題もありません。
映画は現実世界と小説世界から構成されていて、後者のデザインを石岡瑛子が担当しているんですが、確かにビビッドでインパクトがあります。
何はともあれ、ちょっと三島を読んでみたくなりました。三島って初期の数作くらいしか読んでないんですよね。まずは映画で取り上げられていた鏡子の家と奔馬なぞ。

もう一つへんな芋づるがあるのだけど、それはまた日を改めて。