何度か書いたような気もしますが、00年代の半ば頃にNEXTMUSICという音楽配信サイトがありました。アマチュアが自由に曲を発表できる場ということで、おびただしい数の曲がアップロードされていましたが、一方でスタッフが全部の曲を聴いてレーティングしていたり、年2回(だったかな)アワードを開催したり、参加者のモチベーションを高める工夫がいろいろされていたように思います。
私も数曲ほそぼそとアップロードしていたのですが、そこで知った何人かの音楽家に非常に強く刺激されたことが、私が今日CDを作ったりライブをやったりするようになったきっかけというか原動力であることは間違いありません。
そんな音楽家のひとりであるアジノタマキさんがライブをやるというので、12/22に三軒茶屋のGrapefruit Moonというライブハウスに行ってきました。
前回、ライブを見に行ったのが5年くらい前かと思っていたのだけど、記録(これとこれ)を見たら2005年。7年前かぁ・・・。そんなに前だっけ?という感じですが。
そういえば、今年はビーフさんのライブも見たし、2012年はNEXTMUSICで知った音楽家のライブを見た年として記憶されることになるのかも。
で、ライブですが、今回は音響担当の人と二人で、自ら打ち込んだトラックをバックに唄うというスタイル。
7年前のライブはアコースティックギターと唄というアンプラグドなスタイルで、それはそれでとてもすばらしかったのだけど、一方でNEXTMUSICにアップされていた作品が打ち込みベースであったことからすると(そしてその打ち込みが入念に作り込まれたすばらしい出来であったことを思うと)、何というか剣術の達人が素手で戦ったらやっぱり強かった、みたいなライブだったんだなと今となっては思います。
そういう意味では、今回のライブは、本来の剣術をライブで見る初めての機会ということで興味津々だったんですが、いやー。実にすばらしかったです。ネットで聞いたあの音楽がまさに目の前でライブとして現前しているこの感じをどう表現すればいいんでしょうか。
個人的な想像を言うと、こういう形式のライブって意外と難しいんじゃないかという気がしています。トラックと歌がうまくなじまなくて、何というか、カラオケっぽくなってしまうことも多いんじゃないでしょうか。その点、アジノタマキさんのライブはそういうことが全くなくて、歌とトラックが一体となってイノセントな核をスタイリッシュな衣装で包み込んだような一つの世界を表現していて、なんだか圧倒されながら聞いてました。
素朴な音楽では全然ないけれど、でもどこかイノセントな感じがそれとなく伝わってくるのは、本来の意味での(単なる自作自演ではない)SSW的な音楽ということなんだろうなと、7年前のライブで「音楽、そして私がいなくなったあとで」という曲を聴いて思ったけど、今回のライブでもその印象は変わりませんでした。
終演後、アジノタマキさんと少しだけ立ち話しましたが、なんか前回お会いしてから7年もたったとは思えず、「久しぶり〜」みたいな感じでぜんぜん普通に話をして、「ではまた〜」という感じで辞去したのですが、「ではまた〜」がまた7年後になったらどうしよう、とか後から思いました。
というわけで、あまり遠くないうちにまたライブを見られるのを楽しみにしています。