札幌生まれ札幌育ちの私にとって、小学校の頃に開催された札幌オリンピックは本当に大きなイベントでした。
特にスキージャンプ70メートル級で日本が表彰台を独占したことのインパクトは絶大で、今日までスキージャンプファンでいつづけていることの原点であることは間違いありません。もちろん競技結果だけじゃなくて、スキージャンプという競技の魅力〜生身の人間が時速90キロで、しかもあんな前のめりの姿勢で100メートルも空を飛んでいくこと〜のインパクトも大きかったわけですが。
で、その札幌オリンピックのスキージャンプですが、事前の下馬評では、金メダル候補は確かに笠谷が本命だったと思うのですが、最有力の対抗馬と目されていたのはノルウェーのモルクだったかと思います。このシーズンの一月に行われた欧州スキージャンプ週間では笠谷が4戦中3勝したのだけど、最終戦はオリンピックに備えるために帰国してしまったため、総合優勝はモルクになったという状況でした。
※ちなみに前年の欧州ジャンプ週間ではモルクが3勝したけど残りの一戦で成績が伸びず、総合2位になったとのこと。
でも、蓋をあけてみたら、モルクはメダルを一つも取ることができませんでした。
一方、90メートル級の方は笠谷が1本目2位につけていたのに2本目失敗し(横風が吹いたと言われてますが)メダルを逃したことはそれなりに知られていますが、優勝したポーランドのフォルトゥナのことは(少なくとも日本では)あまり語られることもないように思います。フォルトゥナはそれまで目立った実績もない無名の選手で、札幌オリンピックの時だけ絶好調になった、まさにダークホースだったと記憶しているのですが、ウィキペディアを見たら、
それまでFISの大会では18位が最高というほとんど無名の19歳の選手だったが、1972年札幌オリンピックのスキージャンプでは70m級で日本の「日の丸飛行隊」らに次ぐ6位入賞を遂げると、続く90m級で金メダルを獲得した。(中略)オリンピック後は目立った成績が残せず1978年に引退。
ということなので、私の記憶に大きな間違いはなかったようです。
もう一丁、長野オリンピック。ラージヒル個人で船木が優勝し、団体で日本が優勝したことはその後テレビで何度も見たけど、ノーマルヒルについてはほとんど語られることはないように思います。
事前の下馬評では、原田が金メダルの最有力候補と目されていたように記憶していて、本番でも予想通り一本目はトップでした。
が、結果を見ると金はフィンランドのソイニネン、銀が船木で原田はメダルに届かず。ちなみにラージヒルは金は周知のとおり船木で、銀がソイニネンと、ノーマルヒルの金と銀が入れ替わっただけという結果だったんですよね。
ちなみに、このシーズンのワールドカップで総合優勝したのはスロベニアのペテルカでした(前年から二連覇)が、長野オリンピックではメダルは取っていません。
掘り出せばこの手のネタはいくらでも出てくるでしょうが、言いたいのは「一発勝負のオリンピックでは番狂わせはつきもの」ということです。これは他の競技にも多かれ少なかれ言えることだけど、スキージャンプは特にその傾向が甚だしいように思います。オリンピックのタイミングにコンディションのピークを合わせることは至難の業で、下馬評どおりの結果が出ないなどということは日常茶飯事であり、さらにダークホースが彗星のごとく出現し金メダルをかっさらっていくこともあったりします。
長々と書いてしまいました。ソチオリンピックのスキージャンプ女子で高梨がメダルを逃したのは残念だったけど、スキージャンプという競技ではこういうことは本当によくある話なのだということで。