1995年。

いま「オウム真理教の精神史〜ロマン主義・全体主義・原理主義(大田俊寛、春秋社)」という新刊本を読んでます。なんでそんなものを読んでいるかというと、「山形浩生の『経済のトリセツ』」で好意的に紹介されているのを見たからなんですが、それはともかくこの本の序章は「1995年を振り返って」という見出しから始まっていて、1/19には阪神淡路大震災という未曾有の災害に見舞われ、そして3/20には地下鉄サリン事件が発生するなど「日本中が異様な熱気と昂奮に包まれた一年だった」と振り返っています。

1995年??

1995年というと、私にとっては転職で札幌から東京に引っ越した年として記憶されています。いもづる式に記憶をたぐっていくと、
・ゴールデンウィークにはフェリーに車を載せて小樽から舞鶴に行き、大阪でニフティのMIDIフォーラムのオフ会に参加し、乗鞍温泉に泊まり、東京に泊まり、大洗から苫小牧までフェリーで帰った。
・7月には転職で東京に引っ越し(その直前にニフティのテニスフォーラムの泊まりのイベントでニセコに行った)
・12月には、友人の誘いで参加した草の根BBSの忘年会会場を提供。6畳+台所のアパートに13人くらい来たんだったかな。私が厚岸から取り寄せた生牡蠣の取り扱いが不慣れだったため、食した多くの人が当たってしまい、貴重な年末年始の休みを棒に振ったという。

ということで、忘れっぽい私にしては結構いろいろ覚えているんだけど、どうにもこれらのことが、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件と同じ年に起こったとは思えないんですよね。
たとえば、5月に大阪に行ったわけだから、震災の爪痕の記憶があってもよさそうなものだけど、一切なし。
東京に転職する際だって、サリン事件のことがいやな予感として少しは脳裏をかすめたような思い出があってもいいような気がするけど、それもない。
というわけで、どうも自分の記憶について他にも何かがまとめてがっぽり抜け落ちてしまっているのではないかという思いがしています。

それはともかく、「オウム真理教の精神史〜ロマン主義・全体主義・原理主義」はなかなか興味深い本でした。内容はタイトルのとおり、オウム真理教とはいったい何だったのかをロマン主義・全体主義・原理主義という思想史(?)的文脈から読み解くというものですが、オウム自体の話もさることながら、特にそれぞれ1章ずつ割かれたロマン主義・全体主義・原理主義の解説がコンパクトでわかりやすく、さらにいろいろ読んでみたい気持ちにかられました(たとえば「全体主義の起源(ハンナ・アーレント、みすず書房)第3巻」とか)。あとオカルト系の話はなかなか積極的に手を伸ばそうという気にならないのだけど、こういうふうにクールな感じで書いてもらえるとありがたいです。ちなみに、この分野で私にとって有益だったのは他には「長岡鉄男のレコード漫談」くらいかな。


2 thoughts on “1995年。

  1. OTT

    そうそう、ロマン主義、全体主義、原理主義は一本道なんですよね。
    同じテーマで「反西洋思想 (新潮新書)」という本がわりと面白かった記憶があります。
    明日、ライブよろしくです~。

    返信
  2. heli 投稿作成者

    >OTTさん
    「反西洋思想」面白そうですね。なんとなく内容は「反西洋≒反近代」なのかなと思ってアマゾン見たら、そのような指摘をしているレビューがあったのでなるほどと思いました。そのうち読んでみたいと思います。
    明日はこちらこそよろしくです〜。

    返信

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