あばらやカフェ

近所の本屋で見かけたOZ magazineが自由が丘・東横線大特集だったので買ってみました。
「東横線大特集」と銘打っているだけあって、多摩川の向こう(神奈川県)の情報もある程度載っているので、たとえば武蔵小杉とかはどうだろと思ったら、トップに1ページまるごと使って載っているのが64 cafe+ranai。いやーすっかりメジャーな存在になりました。
この店の外見はなかなかすごいです。わりと広い駐車場の奥というロケーションもすごいですが、駐車場の手前から見ると、雨水がしみこんで灰色になったようなモルタルの感じが醸し出す雰囲気はあばらや以外の何物でもありません。でも、店の中にはいると居心地がよくて、初めて訪れたとき一目で気に入ってしまいました。

・・・いや、こういうあばらや系の店って好きなんですよ。
たとえば田園調布駅前のDELI&CAFE5の前身のSandwich Islandsは、屋内に落ち葉が舞い、隙間だらけの床下からは風が吹き上げ、そしてベランダや二階は鉄パイプとビニールシートでできているという、あばらやの中のあばらやでしたが、なんともいえず居心地のよい店でした。食い物も安くて美味しかったし。今のDELI&CAFE5も決して悪くないのですが、どうもあばらや感がないのが物足りないんですよね。
その隣の隣にあるリストランテ PASTA RIというイタリアンもすごいです。てっぺん近くにエンジェルのついた建物の年季の入り方もすごいですが、こちらのベランダはやはり鉄パイプにビニールシートで(田園調布の様式なのか?)、随所で壊れた手すりに間に合わせ的な応急措置しかしていないのもあばらや的です。が、そんなベランダは真冬の寒い夜でも暖房が効いていて実に居心地がいいんですよ。ディナーも3000円くらいとリーズナブルだし。

【追記】
なお、「あばらやカフェ」は「古民家カフェ」とは違います。
「古民家カフェ」は、京都の町家に代表されるような年季の入った伝統的和風建築の魅力を打ち出しているのが特徴だと思いますが、一方あばらやカフェの特徴はもっと身も蓋もないものです。すなわち「雨水のしみた灰色のモルタル」「すきまだらけの床から吹き上げる風」「店内を舞う枯れ葉」「鉄パイプとビニールシート」など、それを魅力と呼んでいいのかどうかためらいを覚える微妙な逆撫で感をうつろな笑いとともに楽しむ世界ではないかと(ちょっとオーバーかも)。でも、そういう特徴が魅力に転化すると、えもいわれぬ居心地の良さが醸し出されるんですよね。


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