Blossom Dearie “Blossom’s own treasures”

先日ブロッサム・ディアリーのCDの感想を書いたけど、どうやらそれを読んだらしい4畳半BOSSA NOVA生活のエコーのramuchi2000GTさんより、

「70年代のエレピものを是非聴いてください。ドナートみたいですよ。」

という情報が。ありがたや〜。
ということで買ってみました。”Blossom’s own treasures”。ブロッサム・ディアリーは60年代まではヴァーヴやキャピトル、フォンタナといったメジャーレーベルから作品をリリースしていたようですが、73年に彼女の腹違いの兄であるウォルター・バーチェットを社長に迎えた自主レーベル、ダフォディル・レコードを設立、以後約30年間にわたってアルバムをリリースし続けたとのこと。”Blossom’s own treasures”は、そのダフォディル・レコードから出したアルバムに収録されたオリジナル曲を集めたもので、堂々の2枚組です。私は60年代のアルバムを聴いていないので、ダフォディル設立以前にブロッサム・ディアリーが曲を作っていたかどうかはよく知らないけど、ダフォディルのファーストアルバムのライナーノーツには”in recent years she has produced over thirty tunes”と書いてあるので、ダフォディル設立頃から精力的に曲を書き始めたという感じではないかと思います。
で、”Blossom’s own treasures”ですが、エレピ(生のピアノもあるけど)とエレベとドラムで繰り出す音楽は、もう全然ジャズではないです。70年代のSSWというかAORというか。先日紹介した50年代のアルバムが完全にジャズだった(しかもオリジナル曲はボーナストラックの1曲だけ)ことからすると、隔世の感があります。でも、無理に時代に合わせようとしているような痛々しい感じは全くなくて、時代とともに音楽を続けてきたらこうなった、といったナチュラルなたたずまいなんですよね。
という感じで気持ちよく1枚目を聞き終えて、2枚目を聞き始めたんですが・・・2曲目から5曲目の、ベースもドラムも入っていない、ブロッサム・ディアリー一人のピアノ弾き語りがすごい!すばらしい!1枚目はリラックスして気持ちよく聞いたという感じだけど、こちらはなにやらセイクレッドな気品のようなものすら漂う唄とピアノ。村上春樹が80年代後半にロンドンで聞いた演奏がこういうものだったのなら、それはそれは感動的な至福の時だっただろうなと思います。
ライナーノーツを見たら、これらの曲は”Winchester in apple blossom time”というアルバムに収録されているとのこと。アマゾンのレビューやらこことかこことかを見ると、このアルバムに特別な思いを抱いている人がいることがわかります。なるほど。
というわけで、こちらもアマゾンで即ポチッとしてしまいました。たぶん聞いたらまたレビュー書くと思います。

なお、ブロッサム・ディアリーは1924年生まれなので、ダフォディル・レコードを設立した1973年には49歳。”Blossom’s own treasures”に収録された曲のほとんどは50代で書かれたことになります。
だからというわけではないけど、歌詞の内容をちょっと見てみたいです(スリーブには英語の歌詞は載っている)。ブロッサム・ディアリーが書いたのは曲だけで、歌詞は他の人が書いていますが、こういうことを歌いたいとか、これは自分の感じ方とは違うとかいった意見を、作曲者でもあり歌手でもある立場のブロッサム・ディアリーが作詞者に全然言っていないということもなかろうと思うので。


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