音楽制作に対する二つの態度

「・・・(トッド・ラングレンは)同じ曲を何度も何度もやり直すなんてありえないし、たいていは“間に合わせ”でOKしてしまう。少しくらい雑な演奏でも気にしないんだ。使いものにならないくらいひどくなければね。たぶんトッドはほんのちょっとしたミスを訂正するために、そのパート全体を差し替えるなんて愚の骨頂だと思っていたんだろう。だからアンディ(・パートリッジ)があるパートも“もっといい”ものに差し替えようとしても、トッドは彼をじっと見つめ、『アンディ、それでもっとよくなるとは限らないだろ--単に、違ってるだけかもしれないじゃないか』と言うだけだった」(トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代

「僕(=山下達郎)が何のためにレコードを作り続けるかというと、純粋に作品をより良いものにしたいということだけなんですね。そして、なぜ音楽を売りたいかというと、アルバムの制作費を増やしたいから。(中略)当時は制作時間と予算が限られていて(中略)4~5人のリズム隊で1日2曲レコーディングするのが当たり前で、それほど緻密なアレンジは時間内にはなかなかできないんですよ。(中略)たとえば、4分半の曲を録った後に、“コーダに行く前にもう1小節あったらな”とか後で後悔しても、“もう一度録るなんて予算の問題で無理だ”ってスタッフに言われるのね。それで僕はレコードをもっと売ろうと思ったんです。トライ&エラーをするために。」(サウンド&レコーディング・マガジン2011.9 山下達郎インタビュー)


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