ボサノヴァを聴いたり読んだり弾いたりするようになってから、どうも気になっていたのが「ボサノヴァはサンバの一種」という言葉です。
サンバ?サンバって、あのカーニバルで露出度の高いお姐さん方が腰を振りながら町を練り歩いていくバックで演奏される、打楽器の洪水のような音楽でしょ? それがあの静かでシンプルなボサノヴァと何の関係があるん?
というのが最初の印象でした。
その後、細々とCDを聴いたり本を読んだりしていくうちに、サンバにもいろいろあるということがおぼろげながらわかってきました。あと、「最初のサンバの曲」と言われるものが存在すること、それも1917年にレコードとして発売されたものであることも驚きでした(Wikipediaにもありますが、ドンガ&マウロ・ジ・アルメイダ作“Pelo Telephone”という曲だそうで)。サンバって、もっと昔に自然発生的に発生した音楽のようなイメージがあったので。とはいえ、音楽スタイルって無から有が生まれるように生まれるわけではなく、長年の音楽的伝統を肥やしに出現するものだろうとは思いますが。
というわけで、サンバに対するイメージは確かに変わったのですが、じゃあサンバってなんだ?と問われたら、今でもうまく答えられません。でも、それは「ロックとは何か」という問いにうまく答えられないのと同じかというと、何かが違うような気がします。でもじゃあ何が違うのかというと、それもよくわからない。でも(「でも」の三連発)ジャンルにはしばられたくないけどジャンルという考え方が無意味とも言いたくない(ジャンルって音楽の伝統というか歴史的文脈と紐づいたスタイルということだと思うので)。
というわけで、サンバについては、適度に意識しつつ、慌てず騒がず、ぼんやりとつきあっていく所存です。