「新しい音楽とことば」

以前に「音楽とことば」という本のことを書いたような気がしていたのだけど、検索したらこの記事で少し触れていただけだった。
十人くらいの日本の音楽家に歌詞について訊くというインタビュー本だけど、とても面白かったんですよね。
で、最近続編の「新しい音楽とことば」という本が出たので買ってみました。
前作同様、概ね面白いです。
監修者は前作が江森丈晃、今作が磯部涼と別の人で、それぞれのスタンスは今作の「はじめに」と「おわりに」に書かれているとおり、

・・・そもそも江森は歌詞に興味をもってこなかったタイプである。そして、ふと「他の人は歌詞についてどう思っているんだろう?」という逆説的な興味がわき、その初期衝動で一冊つくってしまった。一方、筆者は歌詞のことばかり考えてきたタイプである。

とずいぶん違うわけですが、実際には監修者だけがインタビューしているわけではないこともあってか、それほどこの2冊で大きな違いがあるようには感じられなかったです。前者はやや素朴で、後者はやや濃いという感じもしますが(ティカ・αのは濃いというかインタビュアーが自家中毒を起こしているようで異様であったけど)、もっともこれはページあたり文字数というか文字のサイズの違いによるところが大きいかもしれません。今作は老眼が進み始めた人間にはやや優しくないです。

取り上げられた歌詞も(前作同様)みんなレベル高いと思います。
子供の頃(80年代まで)日本語の歌詞を聴いて良いと思うことはほとんどなかったんですけどね。まあ、当時は自分が幼稚だったということもあるとは思うけど。
もちろん取り上げられている歌詞について好き嫌いはあるけど、読むに値しないようなものはなかったと思います。

音楽家もいろいろ考えていることをまじめに語っていて、考えさせられることも多々ありました。
例えば、ことばには人の心を無駄に揺さぶるというか引きずり回す力があると思うけど、歌詞を作る場合にその力とどう向き合うか。
たぶん、その力を活かさないと歌詞は成り立ちづらいと思うけど、だからといってその力を思う存分使いまくるというのも好きじゃない。
そんなことを大森靖子のところを読んでいて考えたりしました。
なんとなく、椎名林檎が登場したときも、同じようなことを感じたような気がします。当時は自分で歌詞を書いてはいなかったので、感じるだけで考えるところまではいかなかったような気がするけど。

他にもネタがごろごろしてます。お勧め。


 


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