日銀「量的・質的金融緩和」決定〜いわゆるアベノミクスのリフレ金融政策について

先日のライブの動画を上げようと思ってましたが、どうやら昨日は歴史的な日になったらしいので、珍しく経済の話。

まずはNHKのニュースから。

■日銀「量的・質的金融緩和」決定
日銀は、黒田総裁の就任後初めてとなる金融政策決定会合を4日まで開き、2%の物価目標を2年程度で実現することを念頭に、「量的・質的金融緩和」と呼ぶ新たな金融緩和の強化策を決めました。今後、日銀が供給するお金の量を、2年間で2倍にするなど、これまでにない大規模な金融緩和に転換することになりました。

ちなみに、日銀の声明文はこちら

3年ほど前のエントリー(これこれ)で、デフレ問題について少しだけ書いたことがありますが、あのときはまさか3年後にこんな劇的な形でリフレ金融政策が実行に移されることになるとは思いませんでした。上記のエントリーでも書いたとおり、山形浩生氏が翻訳したポール・クルーグマンの「日本がはまった罠」を目にして十数年が経過、私自身は別に何か努力したわけではないけれど、なんとも感無量なものがあります。

もちろん、リフレ金融政策が実行されるに至った背景には、そのような政策を支持し、その実現に向けて倦まず弛まず努力を続けてきた方々の貢献によるところが大きいわけですが、その一方で、今それが実行されつつあることについては「運が良かった」というか、偶然の産物という側面があることも否めないように感じます。

なんでそう感じるのかというと、リフレ金融政策を支持するかどうかって、経済政策以外の政治的信条からは比較的独立しているというか、関係が薄いからなんですよね。

例えば、安倍晋三という人がこれだけリフレ的金融政策を理解し、強く押し進めるようになったことは、教育や憲法などに関する安部氏の政治的信条の必然的帰結というわけではあまりないんだろうと思うわけです。自由民主党であることとも本質的にはあまり関係ないでしょう。実際、民主党でもリフレ政策を支持する議員が「デフレ脱却議連」を結成したりしています。残念ながら党の主流派となることはできませんでしたが。一方、昨年の総裁選でもしも石破氏や石原氏が総裁に選出されていたとしたら、このようなリフレ金融政策が実行されることもまずなかったはず。

というわけで、安部氏がリフレ金融政策を支持したことも、同氏が昨年の総裁選で総裁に選出されたことも、かなり運がよかったなと思わざるを得ないんですよね(もちろん、安部氏に熱心にリフレ金融政策を説いた人がいたはずなので、何でも運とか偶然のせいにするのは、そのような努力をした人に失礼だとは思いますが)。

さて。あまりこういうことは言いたくないけど、昨年末の衆議院選で私は自民党に投票しました。それは安部氏がリフレ金融政策をやると言っていたからです。
一方で、私はどちらかというと左翼的な人なので、安部氏のそれ以外の政治的主張には正直あまり賛同できないものが多いのも事実です。でも、そういうことには敢えて目をつぶって、安部総裁率いる自民党に投票したのは、ただただ
恒産なくして恒心なし
ということに尽きます。
「経済成長の時代は終わった」とか「これからは心の時代だ」とか「清貧」だとか言いながら、これまでの経済状況を肯定する人もいるけど、経済の低迷により、就職できなかったり職を失ったり非正規雇用で不安定な立場に立たされたりブラック企業で低賃金で死ぬほど働かされたり、どれだけ多くの人が境遇に立たされてきたか。そんな立場に立っても立派な心を持ち続けられる人もいるだろうけど、経済的苦境が人の心を荒ませることが多いのもまた否定しがたいと思います。

さらにいえば、左翼的というか社民的というかソーシャルというか、そういう政策を実現するにはしかるべきコストが必要ですが、そのコストをまかなうのは他でもない、経済活動から生まれる余剰・余裕のはずです。もちろん、そういう施策の現場を支える人の献身的なボランティア精神によってかろうじて支えられてきた部分も多々あるとは思いますが、やはりそういう政策を望むのなら、「経済がうまく回る政策は何か」も併せて考える必要があるのではないのかなと思ったりもします。

というわけで、安倍首相や自民党を支持しない人にも、ぜひリフレ経済政策については知ってほしいと思います(なんて偉そうなことを言えるほど私は知っているわけではないのだけど)。その上で、経済がいい感じで回るようになったら、是非その余裕・余剰をどのように使うかについて闘って欲しい。民主党が日銀総裁の同意人事でぶちぶち言っていましたが、戦場はそこではないはずだと思っています。

最後に。いわゆるリフレ金融政策がどういうものかを知る上で役立つサイトとして、リフレ政策ポータルWIKIと、そこにぶらさがっている反デフレ政策FAQ中のFAQをお勧めしておきます(最初の方はややとっつきづらいので、途中から読んだ方がいいかも)。是非読みましょう。私も読みます。


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